2021年9月9日 【横浜市大】企業と共同で スマホ位置情報を用いた人流データの信頼性を評価

 

横浜市立大学大学院データサイエンス研究科の佐藤彰洋教授らの研究グループは、国際航業㈱の開発した人流データをもとに、「スマートフォンの位置情報を用いた人流データの信頼性評価やメッシュ統計データの生成方法」を統計関連学会大会で発表した。

この研究は2021年度にスタートした国際航業との共同研究として、スマホの位置情報から収集されるビッグデータを、より価値あるものとして利活用が可能となるのか、ワークショップやビッグデータ分析を重ねた結果として中間報告として公表したもの。

コロナ禍で人の動きの変化に関心が高まるなか、自社の開発した人流データをより安心して社会に役立てたいと考える国際航業からの申し入れによって開始した共同研究であり、この研究結果は今後の人流データの活用を考える際に一つの指針となることが期待される。

「のぞき窓モデル」

この研究で扱うスマートフォンの位置情報付きログデータは、スマホがWi-Fiのアクセスポイントへ接続したときに収集される。このデータは位置情報も含むことからプライバシーへの配慮と対策が必要であること、さらに、大量のデータが生成されることなどから、その利用の際にはさまざまな課題が指摘されていた。

今回の研究では、Wi-Fiアクセスポイント位置情報を含むログデータからメッシュ統計プロダクトの生成過程を取り上げ、性質を調べた。また、これを利用することで、意思決定を支援するために必要な機能とユースケースについて特性も分かりやすく整理した。

さらに、このプロダクト(人流データ)をより効果的に利用するために、生成過程の特徴から信頼性評価も行っている。

一様にどこからでもサンプル抽出可能な通常の標本調査と異なり、今回のセンシングでの標本調査は、母集団のうち観測窓から見える部分だけがサンプル抽出されるといった課題がある。

そこで、今回のサンプル抽出方法を「のぞき窓モデル」と名付け、このモデルを前提とした人流データの活用方法を検討。研究チームではまずセンサーとなるWi-Fiアクセスポイントの電波領域を推計し、観測窓の大きさや数量、重なりを確認した。

さらに観測領域内での人口密度(1㍍メッシュ)を算出・集計した。このとき調査対象エリアのうち観測窓がカバーするエリアがどの程度あるのかを信頼性評価基準の一つと捉え、メッシュ統計データを作成した。


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