2022年2月10日 【横市大】X線を当てるだけで発生するタンパク質結晶の欠陥を観測 X線照射による欠陥発生の新たな知見

横浜市立大学大学院生命ナノシステム科学研究科などの研究グループは、放射光エックス線を照射した際に発生するタンパク質結晶中の欠陥の観測に初めて成功した。欠陥の理論に基づいて欠陥発生の起源を裏付け、エックス線の照射率で欠陥の制御が可能であることを示した。この研究成果は、エックス線に由来した欠陥の発生機構の理解に新たな知見を与えるもの。

この研究成果を導き出したのは、横市第大学院生ナノシステム科学研究科の鈴木 凌助教、橘 勝教授、小島謙一名誉教授、高輝度光科学研究センター(JASRI)の熊坂 崇主席研究員、馬場清喜主幹研究員、水野伸宏研究員、長谷川和也主幹研究員、広島大の小泉晴比古准教授ら。

解析精度の低下が問題に

昨今の感染症をはじめとして、病気の原因解明や創薬に重要なタンパク質の構造に関する研究が活発に行われている。一般的にタンパク質の構造を知るためには、タンパク質の結晶を作製し、エックス線を用いた解析が行われる。その解析の精度は使用する結晶の品質に左右されるため、高品質化を目指した研究が世界中で進められている。

しかし、たとえ品質の良い結晶が得られても、エックス線の照射によって結晶やタンパク質分子にダメージが入ってしまい、解析の精度が低下することが問題となっていた。

また、これまで、タンパク質分子のダメージに関する研究報告があったものの、結晶のダメージに関する研究は例がなかった。その理由として、結晶中の欠陥が観察可能な、標準となる高品質な結晶が得られていなかったこと、もう一つは欠陥を観察するために必要な大型の結晶が得られていなかったことが挙げられる。

この研究では、過去に本研究グループが報告した究極の品質を誇る大型のタンパク質結晶を用いて、エックス線照射の効果を初めて明らかにした。


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