2021年7月19日 【横国大】色相環の絵の具『ARTEO』が開発10周年 産学共同研究の成果

 

横浜国立大学と湖北工業㈱の共同研究の成果である『色相環の絵の具:ARTEO』は、平成23年の誕生から今年で10年を迎えた。ARTEOは、色の本質である色相環を成す形状と配置、透明な絵の具の容器に特徴があり、色相、明度、彩度、補色、混色、配色等のヨハネス・イッテン(スイス、ドイツで活躍した芸術家・教育家)が『色彩調和論』で述べている色彩調和の奥義がそのまま示されている。教師は、色立体等の色彩教具が無くても色彩理論を指導する教具となり、児童生徒は、絵の具を使いながら色彩の空間認知の理解が得られるため、美術教育の基礎の習得に有効であると教育現場から大きな期待が寄せられている。ARTEOの特徴は次のとおり。

《学習機能を持つ絵の具》一般的な絵の具では、赤〜橙〜黄〜黄緑〜緑〜青〜紫〜茶色〜白〜黒と直線状に配置されており、色が円く連続して変化するという空間的な認知について教育するには、色相環の掛け具教材や色立体等を示して、色の三属性※5)を学習指導要領に従って教える必要があった。

ARTEOは、あらかじめ絵の具のチューブを色相環状に配置しており、色を選んで取り出して戻すという「作業」が色の認知「学習」に変わるという、画期的な学習機能を持つ絵の具。一番強い対比となる補色も一目で解り、配色の色の対比の強さは角度でわかる。

また、高度な専門知識であった「色彩調和の和音」を画面に散りばめるごとくできるようになる。

《計算されたデザイン》これまで、チューブの紙ラベルに印刷して再現された色味が実際に出てくる絵の具材の色味とは微妙に異なってしまうのが一般的だったが、ARTEOは、透明チューブを採用したことにより、絵の具材そのものの色が、実際の絵の具の色見本機能を果たしている。

さらに、チューブの形状が円筒ではなく平面で構成され、絵の具自体が「立体に彩色した時の色見本機能」を備えるという画期的な製品として、第23回日本文具大賞デザイン部門最優秀賞を受賞、また、絵の具セットとして特許取得済み。

平面形状の利点として、机の上から転がって落ちることがほとんど無く、また、開閉の感覚が指に伝わるユニバーサル・デザインの蓋には締め損じが起こりにくいため、円筒形の蓋でよくおこっていた中身の絵の具が固まって使えなくなることもない。

《ネーミングの由来》古代ギリシャ語の「ARTE(芸術、美術)」+「O」=美術教育の原点、色相環「円」を加えた造語で、色彩学習の原点から無限に広がる美術教育の未来をイメージしている。


株式会社官庁通信社
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-13-14
--総務部--TEL 03-3251-5751 FAX 03-3251-5753
--編集部--TEL 03-3251-5755 FAX 03-3251-5754

Copyright 株式会社官庁通信社 All Rights Reserved.