国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所、新潟大学、新潟県森林研究所、株式会社ベルディの研究グループは、無花粉スギの判別と量産法を確立しマニュアルとして公開した。未熟種子を培養し、無花粉スギの原因となる遺伝子を目印として選別して用いることで、生産する苗木を全て無花粉スギにすることが可能。さらに、組織培養技術を活用することで試験生産にとどまらず、商業規模での大量生産も可能になる。
花粉を飛散しない無花粉スギ実生苗は人工交配により生産されてきたが、苗木の約半数は花粉を飛散するスギとなるため、無花粉性の確認に2~3年を要していた。
そこで研究グループは、この遺伝子をPCRで簡易に判定する技術と、未熟種子を用いた組織培養により植物体を増殖させる手法とを組み合わせることで、無花粉スギを数ヶ月で選び出し、その苗だけを大量生産する技術を確立した。公開するマニュアルはこれらの技術を多くの人が使えるようにわかりやすく、かつ具体的に解説したもの。この成果は、スギ花粉の発生源を絶つというスギ花粉症の根本的な解決策に貢献する。
マニュアルと関連研究論文は、今年2月に森林総合研究所のウェブサイトとFrontiers in Plant Science誌からオンライン公開された。