2021年8月18日 【東海大】教授執筆学術書がオックスフォード大出版局から刊行

 

東海大学スチューデントアチーブメントセンターの田中彰吾教授が共同編集・執筆した学術書『Body Schema and Body Image:New Directions』(身体図式と身体イメージ:新しい方向性)が、このほどオックスフォード大学出版局から刊行された。身体図式と身体イメージの概念や双方の関係を哲学的に整理して解説するとともに、その視点を脳科学の知見や脳神経系疾患などの診断・治療につなげ、身体性に関する研究や臨床への新たな方向性を示唆したもの。

企画・編集は、田中教授とイスラエルの哲学者ヨハイ・アタリア氏(テル=ハイ・カレッジ准教授)、アメリカの哲学者ショーン・ギャラガー氏(メンフィス大学教授)が担当。編者3名をはじめ、哲学、心理学、神経科学、精神医学、リハビリテーション、ロボティクスなどの分野で身体性に関する最先端の研究に取り組んでいる、10ヵ国以上20名の研究者が執筆した。

身体図式と身体イメージは、どちらも身体と意識にかかわる概念。身体図式は、自転車の乗り方のように体が覚えていて意識せずに機能するシステムで、事故などで失った体の一部が存在しているように感じる症状(幻肢)などと関連している。

一方、身体イメージは体のシルエットのようにはっきりと自分で意識できるもので、体形を過剰に気にすることで発症する拒食症などに関係している。「幻肢や摂食障害、身体失認、離人症といった病的症例の原因は、身体図式と身体イメージの観点から説明できると考えられます。両者はこれまで科学者の間でも混同されがちでしたが、適切な診断・治療のためには双方を明確に区分し、どちらが原因となっているかを見極めた上でアプローチしなければなりません。それを提案し、研究や臨床に生かしていくのがこの本のねらいです」と田中教授は語る。

同書は、①哲学的な理論の解明、②脳神経科学の最新治験、③具体的な病理の理解―の3パートで構成。田中教授は、「運動学習における身体図式と身体イメージ」をテーマに執筆。運動学習には、脳と身体だけでなく環境が重要なファクターとなることを説くとともに、身体図式と身体イメージの哲学的概念と脳神経科学の知見を関連づけながら、目的とする体の動きをマスターする際のコツやカンについても論じている。

 


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