東京大学生産技術研究所(生研)と㈱日立製作所は、超省エネルギー型のビッグデータ基盤の実現に向けた主要技術を共同で研究開発した。ビッグデータ基盤のデータベースエンジンにおける処理方式を、エネルギー効率最適化の視点で抜本的に変更することで、同一消費電力で従来比200倍超のデータ分析処理を実現した。今後、日立と東大生研は、ビッグデータの活用による社会課題・経営課題の解決と、環境負荷の低減を両立する高度なコンピューティング技術の一つとして、この技術を活用した超省エネ型のビッグデータ基盤の実用化を目指す。
今回の共同研究は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2016年度から2027年度にかけて展開している「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」で、『先進IoTサービスを実現する革新的超省エネルギー型ビッグデータ基盤の研究開発』として助成を受け、日立と東大生研が取り組んだ。
ここ数年、あらゆるビジネスを変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進される中、企業が扱うデータ量は爆発的な増加を続けている。データは価値の源泉だが、その利活用には蓄積・分析のための多数のハードウェアが必要で、その結果、ITシステムが消費する電力量は増大し続けており、省エネルギー化が課題となっている。
この課題解決に向けては、従来取り組まれてきたハードウェアだけでなく、今後はハードウェアを制御するデータベースエンジンなどのミドルウェアも含めたITシステム全体でのエネルギー効率の向上が必要となる。
現在、持続可能な未来を実現するために、環境負荷を低減する脱炭素化と気候変動対策への取り組みが全世界で加速しているが、ITシステムの省エネ化を実現することで、温室効果ガスの排出量削減にも貢献できると考えられる。