2021年11月26日 【東大生産研】平塚市と双胴式無人艇による水中観察装置を開発


誰でも簡単に水中の映像を取得でき、泳ぐ魚の観察をはじめ、漁船のスクリューや船底の修理個所や水中構造物の状況等を日常点検できる双胴式無人艇(MMC)による水中観察装置が、神奈川県平塚市と東京大学生産技術研究所との連携協力協定のもとで産官学の連携により開発された。

平塚市と東大生産研では、現在進めている波力発電所の実証実験を契機として、海洋活用技術の研究開発の推進とともに、新産業の創出や人材育成などにつなげるため、平成31年3月19日に連携協力協定を締結している。

また、平塚市漁業協同組合では、漁業が抱えるさまざまな課題の技術的な解決を目的として、平成21年に、東大生産研、平塚市、神奈川県水産技術センター相模湾試験場、平塚農業高校(現平塚農商高校)をはじめ、漁業関連企業や団体等で組織する「平塚漁業新技術検討会」を設立。これまで産学公の連携により、定置網の付着生物対策として紙素材の生分解性ネットの実用化と付着生物の堆肥化研究や、体験漁業専用の小型地引き網の設計・製作、竹炭を活用した港内浄化手法など、さまざまな技術開発・検討を進めてきた。

MMCの開発もこの一連の取組みの中で始まったもので、平塚市と平塚市漁協は、東大生産研北澤研究室及び㈱東京久栄によるMMCの設計・制作に対して、実証実験フィールドとなる漁港内の利用調整をはじめ、沖合での試験への協力、実験結果の評価や提案など、さまざまな場面で協力した。

MMCの構造は、2本のエアチューブフロートとそれを繋ぐラック部、二つのスクリューから構成されている。スクリューはフロートの中間対称に配置されており、スクリューの推力のみで前進・後退・旋回といった制御が可能。

エアチューブフロートは脱気して丸めることができ、ラックも折り畳み式としたことで、MMCは収納・運搬時には三辺160㌢程度の収納ボックスにコンパクトに収納することができる。

このエアチューブフロートは、平塚市消防職員が平成10年度全国消防職員意見発表会で表彰された「消防ホースを活用した救命具」のアイディアをもとに考案されたもの。

MMCの重量は20㎏以下であるため、一人でも運搬が可能。また、組み立ては自転車用のエアポンプだけでも可能で、容易かつ迅速に組み立てることができる。また、操縦も非常に容易。

MMCには、重さ10㎏程度のものを積載できるので、水中ビデオカメラをはじめ、水質計など様々な計測機器の搭載が可能で、さまざまな利活用方法が期待される。


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