2022年5月9日 【東大】荻生家所蔵の荻生徂徠関係資料が駒場図書館に寄贈される

■ポイント□

〇江戸時代を代表する儒学者である荻生徂徠に関わる荻生家所蔵の資料が、徂徠の子孫から寄贈された

〇寄贈された約150点の資料には、徂徠の推敲の過程を追うことができる徂徠自筆の稿本や従来知られていなかった徂徠学派の資料が含まれている

〇荻生徂徠の学問は、江戸時代の学芸のあらゆる領域に影響を与えており、本資料の調査・分析によって、江戸時代の思想・文化の研究が大きく進展することが期待される

 

東京大学附属駒場図書館に昨年12月、江戸時代を代表する儒学者である荻生徂徠(おぎゅう そらい、1666-1728)の子孫である荻生茂樹氏と庄子妙子氏から荻生家所蔵の貴重資料が寄贈された。徂徠の学問の影響は当時の文化の多方面に及んでいる。今回寄贈された約150点の資料には、徂徠自筆の稿本など徂徠学派に関する第一級の資料が含まれており、調査が進むことで、新出の資料が発見されることが期待される。

同図書館では、「このような貴重な資料が、散逸せずに現在まで継承されてきたのは、荻生茂樹氏・庄子妙子氏を含む荻生家代々が学術研究に深い理解を有し、資料の整理・保存に努められてきたから」と、資料の意義を強調。

今後、東大駒場図書館は荻生家歴代の志を受け継ぎ、資料の調査・整理を進め、管理体制を確立した後に、資料を広く公開する予定。資料によって、江戸時代の思想・文化の研究が大きく進展することが期待される。

70年代にマイクロフィルム撮影

寄贈資料は約150点で、徂徠の子孫である荻生家の歴代及び親族によって継承・収集されてきたもの。徂徠自筆の稿本や、従来知られていなかった徂徠の門人の資料、徂徠の肖像画や印が含まれている。今後、整理が進むことで、新出の資料が発見される可能性もある。

貴重な徂徠自筆の稿本には、『五言絶句百首解』(ごごんぜっくひゃくしゅかい)、『滄溟七絶三百首解』(そうめいしちぜつさんびゃくしゅかい)、『広象棋譜』(こうしょうぎふ)、『琉球聘使記』(りゅうきゅうへいしき)などがある。

『五言絶句百首解』『滄溟七絶三百首解』は、明王朝の時代の漢詩に徂徠が注釈を付したもので、『絶句解』(ぜっくかい)『絶句解拾遺』(ぜっくかいしゅうい)の稿本に当たる。

改訂の跡が生々しく残り、編纂過程の詳細をたどることができる。

荻生家所蔵の主要な資料は、1970年代にマイクロフィルムに撮影され、それを印刷した資料が存在している。しかし、改訂箇所は判読が困難であり、今回寄贈された資料によって、本格的な研究が可能になった。

『広象棋譜』は、徂徠が考案した独自の将棋のルールブックであり、『琉球聘使記』は、宝永七年(1710年)の琉球使節に関する記録で、琉球の歌・音楽について詳述している。

徂徠は、儒学だけでなく、文学・兵学・音楽など様々な学問領域に足跡を残しており、荻生家所蔵の資料は、徂徠の学問的な視野の広さを反映したものであるといえる。

 


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