2021年6月24日 【東大】日本語ルビ導入へ 人文学向け電子テキスト構築のガイドラインに

 

これまで欧米中心であった人文学向け電子テキストに、日本語のルビが導入-。東京大学大学院人文社会系研究科の下田教授が研究代表を務める科学研究費補助金事業の成果として、2 月 25 日に公表された「TEI(テキスト・エンコーディング・イニシアチブ)ガイドラインP5バージョン4.2.0」で、日本語のルビがガイドラインの基本構造の一つに組み込まれた。非欧米圏の日本語資料が有する固有のセマンティクス(意味論)が、人文学のための国際標準のデータ形式として、初めて認知された。

TEIガイドラインは、人文学のあらゆる分野で使用するテキストに内在する多様な暗黙的構造をデジタル媒体上に記述する体系的方法として、欧米の人文学での標準規格となっている。

このガイドラインは、標準化を目指す意図から、個々の文化伝統の持つ特異性からは、距離を取る志向を持っていた。こうした状況に対して下田正弘教授らは、仏教学でのデジタル研究を通じ、東アジアや日本語資料の独自のセマンティクスを国際標準化する活動を進めてきた。2016年には、TEIガイドラインを策定するTEI協会内に東アジア/日本専門分科会を設立。日本語圏に向けてTEIの普及活動を進めるとともに、TEI協会に対して日本語ルビ導入を提案していた。

その結果、今年2月25日に公表されたTEIガイドラインP5バージョン4.2.0で提案が承認され、ガイドラインの基本方針の一つとなった。日本語資料が有する固有のセマンティクス(意味論)が、非欧米圏で初めて人文学の国際標準のデータ形式として承認されたもの。下田教授らは、この承認について、「国際的にデータ駆動型研究が推し進められるなか、文化伝統の多様性を前提として人文学を進めるための重要な端緒となるもの」と意義を強調している。


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