東京大学大学院農学生命科学研究科は、出光興産㈱と日本郵船㈱の三者は、出光興産の保有する豪州クイーンズランド州エンシャム石炭鉱山の遊休地を活用して、石炭と混焼可能なバイオマス発電燃料用植物ソルガムの栽培試験に関する共同研究を実施することで合意した。
温室効果ガス(GHG)削減の観点から、今後石炭火力発電所で石炭とバイオマス燃料の混焼需要が高まることが予想されている。三者はバイオマス燃料の原料としてイネ科の一年草植物であるソルガムに着目し、植生地の特性に合った最適品種の選定や栽培方法の確立に関する共同研究を実施する。品種の選定や栽培方法の確立には東大大学院農学生命科学研究科の持つゲノム育種技術・遺伝子解析・栽培技術知見などを活用する。
ソルガムは種蒔きから約3ヵ月で収穫できるため年間複数回の収穫が可能。また、干ばつに強く高い環境適応能力を持つことから、厳しい耕作環境下でも生育が見込める。食料用途との競合も発生しないため、バイオマス発電燃料の安定供給に寄与する有力な原料のひとつとして期待されている。
出光興産が昨年実施した豪州クイーンズランド州エンシャム石炭鉱山でのソルガム栽培と燃料化に関する試験では、同地におけるソルガムの順調な生育を確認し、燃料化が可能となることを確認した。
今回の共同研究では、前回の試験をさらに発展させ、事前に選定したソルガム17品種の栽培試験を実施し、従来に比べ高収量・高発熱量となる発電燃料に適した品種の選抜を行い、同地での効果的な栽培方法の確立を目指す。