2022年5月25日 【東大】人工嗅覚センサーを介した呼気センシングによる個人認証 化学情報による偽造できない生体認証技術実現へ期待

□ポイント■

○16種類の高分子材料と導電性カーボンナノ粒子の混合物で構成される人工嗅覚センサーを介して、呼気センシングによる個人認証の原理実証に成功

○人工知能による機械学習を通して呼気センシングにより得られたデータ群を分析し、20名を対象とする個人認証を97%以上の高精度で達成

○膨大な呼気分子群の化学情報を利用する技術を導入することで、生体認証での情報の偽造防止や窃取した情報による長期的なりすまし防止に期待

 

東京大学大学院工学系研究科 応用化学専攻の長島一樹准教授、柳田 剛教授、九州大学大学院総合理工学府のジラヨパット チャイヤナ 大学院生(研究当時)、名古屋大学大学院工学研究科 生命分子工学専攻の安井隆雄准教授、馬場嘉信教授、パナソニック インダストリー㈱技術本部の花井陽介主任技師、中尾厚夫主任技師、中谷将也課長らの研究グループは、生体呼気から得られる化学情報に基づく個人認証の原理実証に成功した。

この研究では、16種類の高分子材料と導電性カーボンナノ粒子で構成される人工嗅覚センサーを介して呼気センシングを行い、得られたデータ群を人工知能による機械学習を通して分析することで20人の個人認証を97%以上の高精度で達成した。

従来の物理情報を介した方法と比べて、膨大な種類の呼気分子群を通して得られる化学情報を利用する提案方法は、情報の偽造や窃取した情報による長期的ななりすましが極めて困難であることから、高いセキュリティーの生体認証技術の実現につながると期待される。

この研究成果は、5月20日(英国夏時間)に英国王立化学会が出版する「Chemical Communications」誌のオンライン版に掲載された。


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