東北大学病院は、昨年11月に導入した東北初の「Elekta Unity MR リニアックシステム」による治療を2月28日から開始することを決定した。
Elekta Unity は、体内を高画質に描出可能な1.5テスラMRIと高精度に放射線を照射するリニアック(※)を一体化させた世界初の高磁場MRI画像誘導がん放射線治療装置。
※ リニアック:直線加速器。放射線治療用のエックス線や電子線を発生させる最も一般的な放射線治療装置。頭から四肢まで、全身のあらゆる領域の病変の治療が可能な汎用機
同装置では照射直前にその日の腫瘍と周辺の重要臓器の位置や形状をMRIで確認し、オンラインで〝その日の治療計画〟を作成する。このため、腫瘍位置の変化に対応するマージンを最小化することで、健常組織への放射線の影響を最小限に抑えながら、腫瘍への照射線量を高めることができる。
また、照射開始から終了までリアルタイムで腫瘍や重要臓器の位置・形状の変化をMRIにて監視することができる。MRIは放射線を使わないため、従来のエックス線透視装置やCTと異なり、画像誘導のための被ばくがない。またCTよりも明瞭に描出が可能。例えば、小腸が治療中に照射野内に移動した場合に、医師がそれを目視で確認できるため、照射を一時中断することも可能になり、より安全な放射線治療を提供することができる。
さらに、高磁場MRIでは解剖情報だけでなく腫瘍内の機能情報も取得できるため、今後、腫瘍内の細胞活動を測定することで、放射線に対する腫瘍の反応を早期に予測して、治療計画をそれに合わせて変更する予定。