■ポイント□
〇自動車が受ける風圧や風向を瞬時に推定する新しい技術を開発
〇感圧塗料による実験と圧縮センシングを組み合わせ、最適化したセンシング位置での数点の圧力情報から風向や風圧分布を高精度に推定
〇自動運転車で、突風などの外乱に堅牢な制御や空気抵抗を減らす隊列の制御などへの活用に期待
自動運転車の技術開発が世界各国で積極的に行われている。安全で安定かつ効率的な自動運転を行うには、自動車が受ける風圧や風向を検知し、それに応じた制御を行うことが重要。東北大学大学院工学研究科の野々村拓准教授らの研究グループは、自動車などの車体表面の風圧分布と周囲の風向を数点の圧力センサーの情報から推定するための基礎技術とセンサーを設置する場所を最適化する技術を開発した。
この技術は、周囲の圧力に応じて発光強度が変化する機能性分子センサーを混合した特殊な塗料(感圧塗料)を用いて、車体表面の圧力場データを取得。風圧分布モデルの構築と最適なセンシング位置の選定を事前に行う。
また、実際の運用時にはそれらを用いて、数点の圧力センサーの情報から風圧分布と風向を高精度に推定。車体に多数の半導体センサーを埋め込む従来の方法とは全く異なる新しい手法で、市販車への実装を容易にできる可能性がある。
この技術により、走行中の自動車表面の風圧分布や周囲の風向を瞬時に推定でき、自動運転車の突風に対する安定性の向上や、隊列走行するトラック車列に対して空気抵抗を低減する隊列形態の制御を行うことによる燃費の改善などが期待される。
この研究成果は、6月22日(米国東部時間)に科学誌「Journal of Wind Engineering and Industrial Aerodynamics」のオンライン版で公開された。