東北大学附属図書館では、2022年の「東北大学創立115周年・総合大学 100周年」を記念し、同館が所蔵する夏目漱石の旧蔵書にちなんだ菓子『吾輩は羊羹好な猫である』を企画した。仙台市内の和菓子店「白松がモナカ本舗」が製作と販売を行う。13日から同本舗一番町店とエスパル店とインターネット経由の小売サービスであるAmazonで販売を開始する。商品には東北大ロゴマークが付き、売り上げの一部は漱石の旧蔵書「漱石文庫」保存のために同館に寄附される。パッケージは今回の商品のために漱石の作品にちなんだ猫のさまざまな姿が描かれ、漱石と甘いもののエピソードも紹介されている。
作品『草枕』の中で漱石は〝余はすべての菓子のうちでもっとも羊羹が好きだ。〟と主人公に語らせている。また、鏡子夫人の『漱石の思い出』の中では、隠しておいた羊羹を探す漱石に、その様子を気の毒だと思った子供が「お父さん、ここにあってよ」と出してあげる様子などが描かれ、漱石の甘いもの好きのエピソードには事欠かない。
東北大図書館では、2005年(平成17年)の展示「江戸の食文化」の企画として、江戸時代のお菓子レシピを白松がモナカ本舗の協力を得て再現・販売した縁から、今回の「漱石文庫」にちなんだ菓子製作が実現した。
今回の特徴は①東北大学ロゴマーク入り商品であること、②キャンパス外の店舗で販売されること」の二つが特にあげられる。東北大には海外含め年間を通じて多数の研究者や学生らが訪れるが、仙台駅近辺で購入できる大学のお土産というものはこれまでなかった。
今回は価格も税込みで800円と学生が帰省の際にも気軽に買える値段設定とし、個包装にもロゴを入れることで家族や友人とも分け合える工夫をするなど、同大のお土産として活用されるための仕掛けにあふれている。さらに、Amazonでも販売することで、遠方からでも購入が容易となる。
同館としては、購入者層が広がることで、「漱石文庫」が同大に所蔵されていることが周知され、その保存と活用に理解が広がることを期待している。さらに「10月27日〜11月9日は「読書週間」でもあり、漱石も羊羹を食べたことに思いを馳せながら『吾輩は羊羹好な猫である』をお楽しみください」と呼び掛けている。