■ポイント□
〇低出力パルス波超音波治療が、アルツハイマー病に対し、有効かつ安全であることを動物モデルで世界初解明
〇早期アルツハイマー病の患者に対してLIPUS治療の探索的治験を実施した結果、その安全性が確認され、有効性を強く示唆
〇今後、症例数を増やした最終的な検証的治験で確認することが必要
現在、超高齢社会を迎え、アルツハイマー病の患者が世界的に急増しているが、有効で安全な治療法の開発が待たれている。東北大学大学院医学系研究科の下川宏明客員教授らの研究グループは、低出力パルス波超音波(LIPUS)がマウスのアルツハイマー病モデルで有効かつ安全であることを示し、また、詳細な作用機序を明らかにしてきた。この結果に基づき、2018年~2021年にかけて早期アルツハイマー病の患者を対象に、探索的治験を実施。その結果、LIPUS治療の安全性が確認され、有効性が強く示唆される結果が得られた。
この探索的治験の結果は、9 月 15 日に国際的な英文総合医学雑誌 Tohoku Journal of Experimental Medicineにオンライン掲載された。また、このアルツハイマー病に対するLIPUS治療機器は、9月5日付けで厚生労働省の「先駆的医療機器指定制度」の対象品目に指定された。