■ポイント□
〇ラニーニャ現象は複数年続くことがあり、1年目と2年目の冬で日本の気候は大きく変わる
〇ラニーニャ現象の1年目では日本は寒冬、2年目では平年並みの気候となる。また、北米大陸では2年目ほど寒くなる
〇1年目と2年目の気候の違いは、熱帯の海水温に起因する
エルニーニョ/ラニーニャ現象に代表される熱帯域の大気海洋変動は、地球全体の気候に影響を及ぼすことが知られている。ラニーニャ現象に関してはエルニーニョ現象とは異なり、複数年に渡って継続することがわかってきた。
ラニャーニャ現象は、熱帯東太平洋で海面水温が平年より低下し、その状態が1年程度持続する現象。逆に、海面水温が高い状態が続く現象がエルニーニョ現象で、それぞれ数年おきに発生することが知られている。
東北大学大学院理学研究科の西平楽大学院生と杉本周作准教授は、観測データと気候シミュレーション実験を駆使し、ラニーニャ現象時における冬季の気候を解析した。その結果、ラニーニャ現象の1年目の冬では、日本は寒冷化し、2年目では平年並みになることを明らかにした。しかもこの違いは、熱帯西部太平洋の海面水温に起因することを指摘した。
この研究の成果は、熱帯西部域の海洋が冬の日本の気候に影響を与えることを表しています。また、従来言われていた〝ラニーニャ現象時に日本は寒冬になる〟という描像とは異なる発見であり、今後の気候予測の新たな指針を示したといえる。
この研究成果は、世界的な学術誌Geophysical Research Lettersオンライン版で4月1日に早期公開された。