日本人の10人に1人が腰痛に悩まされている。たとえ正しい姿勢を保っていても長時間座っていると腰痛が悪化することがある。腰痛の発生を予測できれば、回避するためのストレッチングやエクササイズなどの行動をとることが可能になるのではないか―。
東北大学大学院医工学研究科の健康維持増進医工学分野の永富良一教授らのグループは、オフィスで働いている22名に荷重センサーを装着したオフィスチェア(スマートチェア)を実際に3ヵ月間使用してもらい、座っているときの荷重変化の信号をAI解析することにより、姿勢の固定化を防いでいる可能性がある細かい動きの共通パターンを発見。そのパターンがみられないと、腰痛悪化が高確率で起こることを見出した。
この研究は、規則性に乏しい時系列生体信号からAIを用いて生理学的に意味のある事象(腰痛)の予測が可能であることを示した重要な報告といえる。ウェラブル機器など日常的にさりげなくセンシングできる生体信号の利用価値が飛躍的に高まることが期待される。
この研究成果は、9月14日にFrontiers in Physiology誌(電子版)に掲載された。