公益財団法人がん研究会が設置するがん研究会有明病院と東京薬科大学が、相互の教育研究資源の有効活用を図り、教育の充実と研究の発展、並びに人材育成の推進により、教育研究の質の向上と社会貢献を目的とする連携協定を1月25日付で締結した。
今後、がん研究会と東京薬科大は、がん研有明病院での連携を深め、同病院の職員は連携教員(教授等)として東京薬大の学部教育や大学院生の研究指導に携わり、臨床薬学分野を中心とした人材育成に貢献する。一方、東京薬大では、がん研有明病院の薬剤師が働きながら博士学位を取得する研究の機会を提供し、がん治療の現場において指導者となるべき人材の養成に協力する。
連携協定の内容は次のとおり。
◎研究の発展
がん研有明病院薬剤部と東京薬科大学薬学部・臨床医療薬学センター及び関連教室が、がん薬物療法や支持・緩和療法などに関して研究協力し、がん医療の発展に貢献する先進的な臨床研究の推進を目指す。また、高度な試料分析とデータ解析技術により、がんの病態解明に貢献する革新的な知見の創出を目指す。将来的には、生命科学部の関連研究室との共同研究も期待される。
◎人材育成の推進
東京薬大は、がん研究会と連携大学院を設置し、がん研有明病院薬剤部に勤務する薬剤師は、東京薬大の大学院薬学研究科博士課程に進学し、社会人学生として博士号の取得を目指す。一方、がん研有明病院の職員は、連携教員(教授等)として東京薬大の薬剤師教育や大学院生の研究指導に関わる。将来的には、薬学部高学年次生の教育・研究指導に関わる体制を構築する。国内最大級のがん専門薬剤師数を誇るがん研有明病院薬剤部によるがん専門領域での学びの機会が、臨床実践能力と研究能力を備えた薬剤師の養成を大きく加速することが期待される。
◎職場及び大学の活性化
がん研有明病院では、若手薬剤師が学位取得を目指して東京薬科大学の薬学研究科博士課程に進学し、臨床研究を推進することで、がん治療の現場における指導者となるべき人材の育成環境を整えることができる。東京薬大でも、がん研有明病院で卒論研究や実務実習、臨床研修等を行うことで、患者中心の医療を身近に引き寄せた教育研究を実践することが可能となる。さらに、こうした取組によって、臨床薬学教育の充実と人的交流を介した大学の活性化を図る。