2021年4月23日 【東京慈恵会医大】在宅療養高齢患者の予後と影響要因を追跡調査

東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター臨床疫学研究部は、日本医療福祉生活協同組合連合会と共同で、在宅療養患者の追跡調査を行い、経年的な予後(死亡率)と要因を明らかにした。男性は女性の1.61倍死亡率が高かった。また、「高い依存疾患指数」「低い栄養状況」「酸素療法を受けている」「うつ傾向にある」「生活保護を受けていない」といったことの死亡率との関連性が高いことが浮き彫りとなった。同研究部では今後、在宅死にどのような要因が関与しているのか、ということについて詳細に分析することとしている。

生活保護、受けないと高まる死亡率

わが国は、先進国の中でも抜きんでた高齢化社会となっており、政府は高齢者の在宅医療・介護を推進している。特に虚弱者や障害者のケアについては、医師主導の在宅訪問医療が柱となるが、わが国では在宅医療の患者の予後(死亡率)や関連する危険因子など、在宅医療に必要な基本的な情報がほとんどなかった。

今回の研究部では、医師主導の在宅医療訪問を受けている患者の予後と危険因子を丹念に追跡調査し、関連性を明らかにする初の多施設前向きコホート研究を行った。825人を対象に2016年3月まで3年間にわたる調査期間中を実施。調査期間中に亡くなった380人について、①性別や②年齢、③併存疾患係数、④栄養状態、⑤基本的日常生活動作、⑥うつ傾向、⑦認知機能などの心理的事項、⑧介護施設入居者、⑨常勤介護者の有無、⑩一人暮らしかどうか、⑪生活保護受給者―など13調査項目を用いて、死亡リスク因子を同定した。

調査の結果、男性が女性に比べて1.61倍死亡率が高く、併存疾患指数が高い者の死亡率の高さも明らかとなった。また、栄養状態が低い者は2.70倍、酸素療法を受けている者は2.49倍死亡率が高まった。うつ傾向も死亡率に影響を与え、生活保護を受けていないこともサポートを受けている者と比較して1.64倍死亡率が高くなった。

 

 


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