2021年12月1日 【東京医歯大】研究成果の実用化を目指すベンチャー企業を設立

地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)の有望シーズ展開事業及び文部科学省「地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」で実施中の研究プロジェクトの成果の社会実装を目的に、ベンチャー企業2社(B-MED㈱、㈱TrichoSeeds)が設立された。B-MED㈱はKISTEC、東京医科歯科大学と東海国立大学機構名古屋大学、㈱TrichoSeedsはKISTECと横浜国立大学との共同研究の成果の実用化を目指す。

今後は、ベンチャー企業で知的財産権の集約を進め事業化に必要な体制を整える予定。一日も早い事業化に向けて、各機関は引き続き支援を行うこととしている。

今回設立したB-MED社、TrichoSeeds社の技術は、それぞれ糖尿病患者や脱毛症患者のアンメットメディカルニーズに応えることのできる画期的なもので、中長期的には数千億円/年規模の売り上げが期待されている。これまでKISTECと各大学で共同研究開発を進め技術優位性を確保してきた。

今回のベンチャー設立によって、できるだけ早期に国内医療機器企業・製薬企業主導の実用化開発に移行するなど、厳しいグローバル実用化競争に勝ち抜けるよう今後も事業を推進することとしている。

ベンチャーで行われる事業化プロジェクトとして「貼るだけで自律型の次世代人工膵臓の開発」がある。プロジェクトリーダー は、松元 亮東京医歯大生体材料工学研究所准教授。

「機械不要、1週間連続使用可能」で血糖値に応じてインスリンを自動投与可能な、低侵襲性のマイクロニードル型インスリンパッチ=〝貼るだけ人工膵臓〟の事業化を目指す。

フェニルボロン酸(PBA)含有ゲルは、高いグルコース濃度では膨潤し、低いグルコース濃度では収縮して表面に「スキン層」と呼ばれる脱水収縮層の壁を形成する。

この現象を利用したインスリンを内包するPBA含有ゲルでは、高血糖時は膨潤したゲルの網目構造からインスリンを放出するが、正常血糖時はスキン層の形成によりインスリン分子の放出が妨げられる。


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