■ポイント□
〇日々の化学・材料実験の様子を電子実験ノートとして記録し、実験操作と結果の関連を自動で解析するAIシステムを構築
〇AIシステムでの解析を通して、室温で液体に近い伝導度を示す高分子固体電解質の最適な製法や、高性能の鍵となるメカニズムを解明
〇今後、実験研究のDXやオープンサイエンスの促進につながることが期待される
早稲田大学理工学術院の畠山 歓講師と小柳津研一教授らの研究グループは国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)と協力し、日々の化学・材料実験の様子を電子実験ノートとして記録し、実験操作と結果の関連を自動で解析するAI(人工知能)システムを構築した。さらに、AIシステムでの解析を通して、室温で液体に近い伝導度を示す高分子固体電解質の最適な製法や、高性能の鍵となるメカニズムを明らかにした。
従来の研究では、研究者が紙面に記録された実験ノートを読み解き、解析用のデータベースを構築するという大きな手間がかかっていた。今回構築したAIシステムによって、複雑な研究を正確にデジタル記録し、データ科学に展開する手段が確立できるようになり、実験研究のデジタルトランスフォーメーション(DX)やオープンサイエンスの促進につながることが期待される。
この研究成果は、Nature系雑誌の『npj Computational Materials』のオンライン版で公開された。