■ポイント□
〇産業廃棄物でもある「おから」の有効利用のため、麹菌による発酵を試みた
〇発酵おからは、未発酵おからに比べ、有用成分である栄養プロファイル含有量が増加
〇高脂肪食に発酵おからを混合したことにより、マウスの脂質異常・肥満が大きく改善された
早稲田大学理工学術院先進理工学研究科 修士課程2年在籍の市川なつみさん、同学術院の柴田重信教授、シンガポールの南洋理工大学准教授を中心とする研究グループは、麹菌を用いて「おから」を固体発酵させることが有用成分を変化させ、総フェノール量、タンパク質含有量、アミノ酸含有量といった栄養プロファイルが改善されることを発見した。また、高脂肪食に発酵おからを混合することにより、マウスの脂質代謝が改善され、抗肥満や脂質異常の改善効果を示すことを明らかにした。
大豆加工品の需要に伴い、おからは産業廃棄物として大量に出てくるため、利活用が課題となっている。研究グループは、いくつかの麹菌を組み合わせ、固体発酵によっておからの機能性が向上することを発見し、発酵おからが抗肥満、脂質代謝異常の改善効果を示すことをマウスのモデルで見出すことに成功した。
今回開発した発酵おからは、肥満や脂質異常症を改善できる食材になることが期待できるとともに、環境と経済の両面で、食品廃棄物の問題解決、有用な機能性食品の改良、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献も期待できる。