新潟大学の研究グループは、①月に1回以上スポーツや趣味等の会に参加している(社会参加)、②地域の人を信用または信頼している、地域に愛着がある(社会的結束)、③心配事や愚痴を聞いたり話したりする人がいる、病気で数日間寝込んだときに看病や世話をしてくれる人がいる(互酬性)の―三つのソーシャルキャピタル(社会関係資本)がある65歳以上の高齢者は、それらのソーシャルキャピタルがない高齢者に比べ、肺炎球菌予防接種を受けている人がそれぞれ13%、5%、34%多いことを明らかにした。また、社会参加が豊かな地域に住んでいる高齢者は、個人の社会参加の有無に関わらず、社会参加が標準的な地域に比べ肺炎球菌予防接種を受けている人が3%多いことも確認した。
この研究成果を発表したのは、新潟大大学院医歯学総合研究科国際保健学分野の齋藤孔良助教、菖蒲川由郷特任教授らの研究グループ。
肺炎は⽇本を含む世界中で⾼齢者の死因の上位を占めており、肺炎球菌は世界で最も多くの肺炎を起こしている菌。このため、世界の多くの国々で⾼齢者の肺炎球菌ワクチンの接種に対する助成が⾏われている。
しかしながら、⽇本では各⾃治体で肺炎球菌ワクチンの助成⾦の⾦額が異なり、このことが各⾃治体でワクチン接種率が⼤きく異なる原因になっている。この研究は、助成⾦以外でワクチン接種率の向上につなげる⽅法を⾒つけることが重要との観点から行われた。