今年4月に宮城県の小学校で、防球ネットの市中倒壊により児童が死傷するという痛ましい事故が発生した。こうした事態を受けて文部科学省では、事故の再発防止と学校環境の安全確保に万全を期すため、倒壊や落下などにより重大な事故に繋がる恐れのある工作物や機器の安全点検を行うよう、各都道府県の教育委員会等に対して依頼した。「点検すべき対象を今一度把握し、通常の使い方に加えて児童生徒の目線や多様な行動等も考慮して安全点検を行うことが重要」としている。
具体的には、各学校で作成している安全点検表について、設置経緯が不明といった理由により点検の対象外となっているものがないか確認し、不足している項目を点検表に加える。さらに、項目に応じて、学校や学校設置者、専門家といった点検の分担を明確にするよう求めている。
また、目視による点検では安全性の判断が困難な場合や、設置場所や構造上の複雑さ、表面の塗装等により金属疲労・腐食・破損等の常態を正確に把握できない場合は、専門的な点検を行うことを要請している。
さらに、学校で策定・作成した「学校安全計画」と「危機管理マニュアル」をもとに、事故の発生防止に努めるとともに、教職員に対して事件・事故発生時での対応の周知徹底を行うこととしている。
学校での工作物等の事故は、宮城県の小学校での死亡事故のほか、福岡県北九州市の中学校でも、体育館内のバスケットゴールが落下し生徒が負傷するなど、校舎等内外で事故が発生している。