文化庁等は、3月10日に開催された無形文化遺産保護条約関係省庁連絡会議で、「伝統的酒造り」をユネスコ無形文化遺産(人類の無形文化遺産の代表的な一覧表)に提案することを決定した。今後は3月末までにユネスコに提案書を提出する予定。令和6年10月頃に評価機関による勧告が行われ、同年11月頃に政府間委員会で審議・決定する。
今回、無形文化遺産提案された「伝統的酒造り」は、わが国の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術。
伝統的なこうじ菌を用いて、近代科学が成立・普及する以前の時代から、杜氏(とうじ)・蔵人(くらびと)等が経験の蓄積によって探り出し、手作業のわざとして築きあげてきたもので、日本各地でその土地の気候や風土に応じ、多様な姿で受け継がれている。
儀式や祭礼行事など、今日の日本人の生活のさまざまな場面にも不可欠で、わが国のさまざまな文化と密接に関わる酒を生み出す根底ともなる技術。
酒造りを通じた多層的なコミュニティ内の絆の認知を高めるとともに、世界各地の酒造りに関する技術との交流、対話を促進する契機ともなることが期待され、無形文化遺産の保護・伝承の事例として、国際社会での無形文化遺産の保護の取組に大きく貢献する。