2022年11月11日 【慶應大】伝統芸能データベース「Global Jukebox」を公開  1026民族を代表する5776件の音声記録がインタラクティブに利用可能

世界中の音楽と伝統芸能の音声記録を検索することができるオンラインツール「Global Jukebox」(http://theglobaljukebox.org)がこのほど、市民らと研究者向けに公開された。Cultural Equity協会(アメリカ、ニューヨーク)所属のアナL.C.ウッド博士、慶應義塾大学環境情報学部(神奈川県藤沢市)パトリック・サベジ准教授のほか、サム・パスモア氏(同大学院政策・メディア研究科2021年度特任教授)と大穀英雄(同大学院政策・メディア研究科修士課程)など17名で構成する研究チームの成果。

研究成果は、オープンアクセスのジャーナル誌『PLOS ONE』に 11 月 2 日(現地時間)に掲載された

 

Global Jukebox は1026民族の伝統的な楽曲を含むデータセットの上に成り立っている。このうちの多くは、民族音楽学者アラン・ロマックスによって収集された。ロマックスは、それぞれの曲を、歌手の数、声色、リズムやメロディーなどの特徴によってカテゴリー化している。現在、Global Jukeboxのデータセットに含まれる5776曲は約37種類の特徴に分けられている。

 

2017年に Global Jukeboxの暫定版がリリースされた。現在、同データベースは誰にでもダウンロードできるようになっている。今回、ウッド博士をはじめとした研究者たちはデータの正確性を保証するため、楽曲の種別や特徴などを含めて、5776曲のデータを見直し、より精度の高いものにした。

また、呼吸方法や楽器情報など音声記録に関するその他の特徴や、会話の様式のような非音楽的なデータなどを分類した補助的なデータセットもリリース。研究チームでは、Global Jukeboxがほかの研究者に刺激を与え、音楽の伝統や文化の進化に関する多様な異文化調査を可能にすることを期待している。

実際、研究チームも同データベースを用いて、一つの民族の社会政治の複雑性の度合いと曲の特徴の関係性について調べたところ、両者の間に相関関係があることを発見した。しかし、そのメカニズムを明らかにするためには、さらなる研究が必要。

Global Jukeboxを公開するにあたって、研究チームは同データベースを利用した研究プロジェクトに、文化の公平性を保つように努めた。加えて、全ての楽曲は著作権とその文化継承者の許す範囲内のみ利用可能となっている。


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