研究ポイント
◎新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者10人(軽症、中等症各5人)の入院中・退院後の血清試料をもとに、血中ウイルス量および抗体動態について評価。
◎全例の入院時血清から新型コロナウイルスが検出された。軽症例では、その後検出感度以下まで血中ウイルス量が低下したが、中等症例では、発症後数週間血中から少量のウイルスが検出され続けた。
◎培養細胞によるウイルス分離検査を行い、感染性の有無について評価した結果、検出された血中ウイルスはすべて分離陰性であり、感染力はないものと考えられる。
広島大学大学院医系科学研究科の坂口剛正教授と田中純子教授らの研究グループは、医療機関において入院治療を受けたCOVID-19患者10人(軽症、中等症各5人)の入院中・退院後の複数時点における血清試料(合計81検体)を解析した。その結果、全例の入院時血清からウイルスが検出され、中等症例においては発症後数週間にわたって少量のウイルスが検出され続けたが、ウイルス分離培養検査の結果からいずれも感染力はないとの結論を得た。抗体反応については、すべての患者で発症後1週間ほどで抗体が増加し始めた。軽症例よりも中等症例で中和活性がやや高い傾向があった。
この研究成果は、12月12日に国際科学誌「Journal of Medical Virology」に掲載された。