岡山大学病院は、医科・歯科診療科横断組織からなる「お口の健康管理センター」を 2023 年3月1日に開設する。センターでは健康増進と研究推進を2本柱として活動を展開。健康増進の柱として、歯科健診(歯科ドック)を実施し、むし歯、歯周病、がん、粘膜の疾患、機能不全などを引き起こす因子の各種検査を行うことで、健康増進に加えて疾病の早期発見・早期治療に貢献する。
また、研究推進の柱として、バイオバンク登録を行う。研究協力に同意した患者のデータや検査結果を教育・研究に応用し、人材の育成と新規診断機器・予防医療の開発にも貢献する。
センターでは医科・歯科連携により、口の健康管理・健康増進に加えて、研究推進にも力を入れながら、国内外から広く患者を受け入れる。
患者中心のチーム医療を推進
岡山大病院「お口の健康管理センター」は、歯科予防歯科部門、歯科放射線科部門、歯科総合診断室、ゲノム医療総合推進センター、バイオバンクを主要診療科等として、その他すべての医科・歯科の協力診療科により構成される。
超高齢社会を迎えたわが国では、健康寿命の延伸が重要な課題で、健康寿命の延伸には長期的な口腔の健康管理が重要となっている。従来の歯科疾患の早期発見と早期治療だけでなく、健康状態を確認して、健康の維持・増進を図るための歯科健診(歯科ドック)の拡充が歯科でも必要とされている。
お口の健康管理センターを設置することにより、総合的な健康管理体制を必要とする患者にわかりやすい窓口を提供し、患者を中心にさまざまな診療科・診療部署が関わるチーム医療として対応することが可能になると期待される。地域の歯科医療機関とも密接に連携し、広く国内外から患者を受け入れる。
センターでは、各種の検査を通じて得られるさまざまなレベルの口腔健康状態に応じた対処法を提案する。口の中の検査(むし歯・歯ぐき・がんなどの検査)に加えて、画像検査、口腔機能検査、唾液検査、細菌検査、抗体検査、遺伝子検査、口臭検査などをもとに、現在の口腔内の健康レベルと将来に向けたリスクの強さを判定し、それぞれの状態に応じた口腔管理方法を指導する。
必要に応じて、各歯科診療科・診療部門に紹介するとともに、希望者には、定期的に予防歯科的な処置も行う。
患者データを研究に利用、産学連携を推進
センターには、もう一つの役割である研究推進の側面がある。研究同意のあった患者のデータが、バイオバンクを通じてデータベース化することで、大学・公的研究機関での基礎研究や臨床研究での利用と製品開発に貢献するための産学連携を推進しやすいことが期待できる。
歯科ドックを受けられた患者自身の健康増進だけでなく、他の人の健康にも役立てることが期待されます。また、人材の育成と新たな診断方法、診断機器、予防医療の開発を目指す。