2022年2月2日 【山口大】ワクチン接種の心理学的要因を3ヵ国調査で解明 日本の迷信は「接種すると感染したことになる」

山口大学人文学部の高橋征仁教授は、英国ウォーリック大教授、イスラエル・アリエル大学教授らとともに、新型コロナ感染症のワクチン接種意向に関して、イスラエルと日本、ハンガリーの3ヵ国の比較調査を実施し、心理学的要因を明らかにした。

現在、新型コロナ感染症の流行を抑制する方法として、世界中でワクチン接種が提唱されている。しかしながら、どの国でもワクチン接種に対して一定の忌避傾向が存在していることも事実。そこで高橋教授らの研究では、ワクチン接種の先進国イスラエルと、ワクチン接種に出遅れていた日本・ハンガリーの3ヵ国を取り上げ、ワクチン接種の意向を基礎づけている心理学的要因を探った。

それぞれの国の調査時点でのワクチン接種意向は、イスラエル74%(2021年1月)、日本51%(2021年2月)、ハンガリー31%(2021年4月)だった。年齢や性別、学歴等を統制したうえで、これら3ヵ国で共通にみられたワクチン接種意向の心理学的要因は、感染や重症化に対する不安ではなく、「政府に対する信頼」と「ワクチンを接種しなかった場合の後悔」だった。

また、ワクチン接種をめぐる迷信は、それぞれの国で大きく異なり、日本で特徴的だったのは、「ワクチンを接種すると新型コロナに感染したことになる」という生ワクチンとmRNAワクチンを混同した迷信。これらの分析結果は、各国のワクチン接種キャンペーンのあり方を再検討するうえで大いに示唆に富んだものといえる。

この研究成果は、2021年5月25日から健康科学のための出版前サーバーmedRxivにおいて公開された後、今年1月10日に世界的学術出版社ネイチャー社のオープンアクセス誌「Scientific Reports」に掲載された。


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