『交通事故など「ドキッ!」の瞬間、スローモーションで見える』は正しかった!。千葉大学の研究チームは、ドラマやマンガで使われてきた表現を科学的に解明した。さまざまな表情画像の観察で生じる感情反応が視覚の時間精度(短時間に処理できる能力)に及ぼす影響を調査。その結果、画像を観察することで感情反応が生じた際に物事がスローモーションに見えるという現象が生じることをあらためて確認した。この研究を行ったのは、大学院融合理工学府博士後期課程3年の小林美沙氏と大学院人文科学研究院の一川 誠教授の研究チーム。
研究チームでは、「今回の研究成果により、覚醒度が⾼まるほど視覚の時間精度が⾼まることが⽰され、交通事故のような危険な場⾯や、スポーツ選⼿の緊張感の⾼い試合での「ゾーン」などの際に物事がスローモーションに⾒える現象について明らかにする⼀歩となったと考えられる」としている。
交通事故の瞬間や⾼いところから落下する瞬間など、突発的に危険な状況に陥った時に、物事がスローモーションのように⾒えたという報告がしばしばされている。これまでに研究チームは、さまざまな強度の感情反応や印象を引き起こす写真のデータベースを使った実験で、危険を感じた際に視覚の時間精度が上昇する結果を世界で初めて得ていた。
しかしながら、この実験で⽤いたデータベースの画像は⾵景や動物、事件などに関する写真で、危険を感じさせる画像と安全な状態を⽰す画像との間で画像の⾊彩の特性が⼤きく異なっていた。このため、画像観察によって喚起された感情ではなく、提⽰された画像の⾊彩の特性の違いにより視覚の時間精度が変動した可能性が指摘されていた。⾊彩の特性が⼤きく変わらない画像を⽤いて感情喚起することで前回の研究成果を確認することが求められていた。