昆虫の〝死んだふり〟のメカニズムを書籍に―。北海道大学電子科学研究所の西野浩史助教らは、昆虫の擬死(死んだふり)に関するモノグラフ(専門書)を出版した。国内研究者を中心に、擬死を包括的に解説している。擬死の誘発につながるセンサーを特定するとともに、筋負荷を減らす反射が、対捕食者戦略へと組み込まれた可能性を示唆している。
動物のなかには予期しない刺激を受けると、突然身動き一つしなくなるものがある。
昆虫の擬死については、国内で精力的に研究されてきた経緯があり、国内研究者を中心に、この風変りな行動の仕組みや生存上の意義について包括的に解説したモノグラフ(酒井正樹岡山大名誉教授編集)を出版した。西野助教は「コオロギの擬死:行動特徴と機能的意義」「同:広範な運動抑制と神経基盤」の2章を担当。擬死の生理メカニズムについて他章との比較の観点から解説している。