2021年6月10日 【北大】クラファンを実施 海洋生物から新型コロナ治療薬開発へ

北海道大学大学院水産科学研究院(函館市)酒井隆一教授が、国内最大級のクラウドファンディングサービス「Readyfor」で、6月30日まで支援金を募集している。海洋生物から新型コロナウイルス感染症治療薬の開発を目指しており、今月中に400万円を集めることを目指している。

酒井教授は、約40年間にわたり海洋生物から薬を海洋生物から薬を見つける研究を行い、抗がん剤として用いられている抗腫瘍薬などの研究に携わってきた。これまでの研究経験を活かし、新型コロナウイルス治療薬の素材を発見するため、国の緊急プロジェクト(J‐Rapid)として、昨年度から海洋生物から新型コロナウイルスの治療に役立つ化合物を見つける研究に着手した。

1年間でコロナ感染阻害抽出物30種発見

すでに1年間で約400種の海洋生物を採集し、新型コロナウイルスの感染を阻害する抽出物を30種見出した。また、酒井教授がこれまでに精製した化合物のストックから新型コロナウイルスによる細胞の障害をほぼ完全に阻害することのできる化合物Aも発見した。

まだ基礎研究の段階であり、動物実験やヒトにおける臨床試験を経ていないため、同様の阻害作用が人体でも通用するか否かは将来的に探る必要があるが、貴重な発見であると考えられている。

今後、抽出物に含まれる化合物を精製し、それぞれについて新型コロナウイルス阻害薬としての効果を調べていく必要がある。より多くの海洋生物を集め、探索を続けることも重要で、現在、世界中で新型コロナウイルス感染症の治療薬発見を目指した研究が進んでいるが、海洋生物を探索源とした研究はこれまでになく、新しい作用機構を持つ物質の発見が期待できる。

既存医薬1万2000 種のスクリーニングで30種の化合物(0.25%)が抗SARS‐CoV2活性を示したという最近の研究と比較しても、海洋生物に秘められた力は魅力的なものといえる。

このように意義ある研究ではあるが、国の研究費は既に終了し、次の研究費獲得まで研究を継続するためには迅速に資金を得る必要があることから、酒井教授は、今回クラウドファンディングを実施することとなった。目標金額は400万円。期間は今月末まで。


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