京都大学生存圏研究所の中川貴文准教授は、木造住宅の地震時の損傷状況や倒壊過程をシミュレートするプログラム『ウォールスタット(wallstat)』の機能強化版をフリーソフトとしてホームページで公開した。
ウォールスタットは、パソコン上で建物を3次元的にモデル化し、過去に起きた地震や想定される極大地震などさまざまな地震動を与え、木造住宅の耐震性能を動画で確認(見える化)することができる。
建物が倒壊するまで計算できるのがこのソフトの特徴。住宅設計者などに累計5万回以上ダウンロードされている。
これまで、数多くの実大振動台実験との比較検証を踏まえ、独自のシミュレーション理論の開発と精度向上を重ねてきた。今回の機能強化版では、これまで1回のシミュレーションに標準的なパソコンで20~30分程度かかっていた計算待ち時間を10分の1に短縮(2分程度)することに成功した。
設計の際に間取りを変えて繰り返しシミュレーションする際に、計算待ち時間がユーザーの障害となっていたが、今回の機能強化により、実務での導入がより簡単になった。研究者や構造設計者だけでなく、工務店やハウスメーカーの設計者等にも幅広く普及し、耐震性能の検証、顧客へのプレゼン、防災意識の啓発などに活用されることが期待される。
※ ウォールスタットの詳しい情報の閲覧やダウンロードは、http://www.rish.kyoto-u.ac.jp/~nakagawa、またはhttp://support.wallstat.jpから。