京都大学大学院教育学研究科の研究グループは、大学生や大学院生を対象とした実験を行い、「事前のギャンブルで勝った経験が多いと無謀な賭け(負けが見込まれる局面での多額の賭け)を行いやすい」という現象の背後にあるメカニズムについて検討した。その結果、事前に多くの勝ちを経験した参加者では、多くの負けを経験した参加者と比べて、ポジティブ感情の低下やネガティブ感情の上昇などの変化が見られず、賭けに対して知覚されたベネフィット(メリットがある感じ)が高いまま維持されることが分かった。一方、参加者の賭け行動を時系列解析したところ、事前に多くの負けを経験した参加者は実験の終盤で集中的に無謀な賭けを行っていたことが明らかとなり、無謀な賭けと「負け追い」(損失を取り返そうとする行動)の関連性を示唆する結果が得られた。研究グループでは今後、ギャンブル中の認知学習プロセスや個人差に焦点を当てた研究を展開する予定。
この研究成果は、10月11日に国際学術誌「Journal of Gambling Studies」にオンライン掲載された。