九州工業大学では、医療・福祉分野及び建設分野の⼈材紹介・派遣サービス事業グループを統括する㈱トライト(本社:大阪市)とともに、介護従事者の定着率改善に向けた共同研究を開始する。労働環境の解決策や改善手法を導き出し、介護従事者の働きやすさの向上と離職率低減への貢献を目指す。
少子高齢化が進行するなか、介護業界での労働力不足は深刻な社会課題。2040年度に必要な介護従事者280万人に対し、約69万人が不足すると試算されている。介護領域の離職率は2021年で14.1%と過去数年で改善傾向にある一方、従事者の63.0%が現場で人材の〝不足感〟を抱いている。また、全産業の平均勤続年数が12.3年である一方、介護を含めた医療福祉全体の平均勤続年数は9.0年と、全産業と比較しても定着率の改善が期待されている領域となっている。
従事者の傾向を分類
共同研究では、介護従事者の現場での就労体験とその影響因子候補を抽出、分析、検証し、介護業界全体の労働体験を定量化する。さらに、「どのような時に生産性が向上するのか」「何にやりがいを感じるのか」といった従事者の傾向を分類し、定着率改善に向けたタイプ別のソリューション開発を目指す。
九工大大学院生命体工学研究科井上創造教授が有するセンサーを活用した行動認識技術や介護領域での業務分析力と、トライトグループが蓄積してきた医療介護福祉従事者のニーズ等の豊富な情報量と知見を組み合わせることで、研究を迅速に進める。