■ポイント□
〇⾃殺対策の基礎資料となる⾃殺の地域格差を可視化
〇2009〜2018年の⾃殺統計資料から⾃殺の割合の⾼低を数値化し、政策単位(市町村、⼆次医療圏、都道府県)間の⾒え⽅の違いを検証し、都道府県単位のみで評価すると⾒落としかねない⾃殺の多い/少ない地域を明らかに
〇都道府県・市町村が相互連携した⾃殺対策計画策定への活⽤に期待
2016年4⽉の⾃殺対策基本法の改正により、すべての都道府県と市町村に⾃殺対策計画の策定が義務付けられた。計画策定のガイドラインには、市町村と都道府県の連携の必要性が明記されている。
こうした現状などを背景に、九州大学などの研究グループは、⾃殺対策計画の基礎資料となる⾃殺の地域格差を可視化した。 ⼀般に市町村で⾃殺死亡の⾼低を評価する際には、⾃殺死亡率や標準化死亡⽐(SMR)という指標が⽤いられるが、⼈⼝規模の⼩さい地域では変動が⼤きくなることが知られている。この研究では、階層ベイズモデルという⼿法で、2009〜2018年の⾃殺統計資料から⼈⼝の影響を⼩さくしたSMRを算出。政策単位(市町村、⼆次医療圏、都道府県)間の⾒え⽅の違いを検証し、都道府県単位のみで評価すると⾒落としかねない⾃殺の多い/少ない地域を明らかにした。
この研究結果をもとに、それぞれの地域で⾃殺のリスク要因や保護要因を⽐較・分析するきっかけになることや、市町村は地域の特性に応じた⾃殺対策を推進し、都道府県は地域格差を把握し⼆次医療圏など市町村の圏域を越えた地域との連携協⼒を発展する役割を果たすことが期待される。
この研究成果はアメリカ合衆国の雑誌「PLOS Global Public Health」に8⽉16⽇に掲載された。