中部大学は、東京大学先端科学技術研究センター、産業技術総合研究所、早稲田大学と共同で、風力に特化して再生可能エネルギーを効率的に利用するための研究開発で共同研究契約を結んだ。
カーボンニュートラル社会の実現に向け、個々の風力発電設備を高度化するのではなく、センシングや情報通信、データ通信といった最新のITを活用。複数の設備を連携して稼働率を高め、より多くの電力エネルギーを需要地に供給する再生可能エネルギーのデジタル・トランスフォーメーション(DX)化を進める。
連携チームは中部大工学部電気電子システム工学科の山本和男教授、東大先端科学技術研究センターの飯田誠特任准教授、産総研人工知能研究センターの緒形淳研究チーム長、早大理工学術院の小川哲司教授の4人を中心に構成。それぞれのチームが異なる研究を分担して連携する。
このなかで中部大の山本教授らは、風力発電設備の故障原因の約20%を占める落雷対策の研究を担当する。具体的には次の3点を実施する。
①雷データの収集技術の確立
②落雷由来の風力発電設備の事故・故障トラブルと外部環境データの分析
③故障トラブルにインパクトを与えている雷の物理量と被害発生メカニズムの分析
現在、世界全体で洋上風力発電を活用する機運が高まっている。米政府は昨年、2030年までに約1000万世帯の需要に応えられる洋上風力発電による電力供給を目指すと発表している。日本政府も2030年までに原子力発電所10基分の電力を洋上風力発電で作り出す目標を2年前に発表している。北海道電力や ENEOS は、精製時に二酸化炭素を発生しない〝グリーン水素〟を洋上風力発電による電力で製造する計画もある。水素も二酸化炭素を発生しないクリーンなエネルギー源として自動車など様々な分野で需要が高まっている。