文部科学省は、スーパーコンピュータ『富岳』を用いて、国立競技場を模擬した環境での飛沫シミュレーションを実施、設計通りの空調条件である客室の後方から風が吹いている条件では、感染リスクは限りなくゼロに近いことが明らかとなった。一方で、客席の前方から風が吹いているケースでは、感染リスクが少し上がるが、仮に1万人動員した際の新規感染者数の試算は、1名に満たない程度であった。これらの結果から、マスクを着用してソーシャルディスタンスを保つといった従来の新型コロナウイルス感染症対策が引き続き有効であることが示唆された。
私から理化学研究所を指示し、東京オリパラ会場のひとつである国立競技場の環境を模擬し、飛沫の飛散シミュレーションから感染リスクを試算した。富岳での試算では、国立競技場の感染スタンドで、全員がマスクをし、さらに観客の間に空席を設けることで、感染リスクが下げられることがわかった。
『富岳』は、スパコン世界ランキングで3期連続世界一を記録。平成26年度から開発を進めており、昨年4月からは、緊急的に新型コロナウイルス感染症対策に貢献する研究課題を実施し、その高い性能を活用したシミュレーションにより得られた成果が、感染症対策の検討に活用されてきた。
文部科学省では、この検証結果は、組織委員会にも共有しており、東京オリパラがより安全に運営されるための参考となることを期待している。