台湾の主催により5月17日から24日にオンラインで開催された「第21回アジア物理オリンピック」。筑波大学附属駒場高校3年の粟野稜也君が銅メダルを獲得するなど、日本代表として参加した8名の高校生の活躍が目立った。
大会には23ヵ国・地域から181名が参加。
粟野君のほか、久留米大学附設高校3年の楠元康生君が金メダルを獲得。さらに、同高校3年の糸永泰樹君、愛光高校3年の林 健介君、東京都立武蔵高校3年の村山一央君が銅メダルに輝いた。
アジア物理五輪(APhO)は、ヨーロッパ物理オリンピックと並び、毎年7月に行われる国際物理オリンピック(IPhO)の前哨戦となる地域限定の国際大会。2000年にインドネシアのカラワチで第1回大会が開催され、それ以後毎年5月にアジア各地で開催されてきた。2020年の台湾大会はCOVID‐19の影響で中止となったが、今年はオンライン形式で台湾が主催して実施された。
参加資格は、IPhOと同じで、20歳未満でかつ大学などの高等教育を受けていないこととされている。各国から高校生等が参加し、物理学に対する興味関心と能力を高め合うとともに、国際的な交流を通じて参加国における物理教育を一層発展させることを目的としている。
科学・技術のあらゆる分野において増大する物理学の重要性、また次代を担う青少年の一般的教養としての物理学の有用性を鑑み、開催国を持ち回りとして毎年開催されている。
各国内で選抜された最大8名の代表選手たちが、リーダーやオブザーバーからなる引率役員とともに参加する。1週間という長い会期の間、選手は理論問題・実験問題にそれぞれ5時間をかけて挑戦する。
引率役員は、試験問題の自国語への翻訳作業や採点、試験結果についての調整などを担う。各国の引率役員が理科教育推進のための国際的なネットワークを形成し、自国の理科教育を国際標準に照らして見直す良い機会ともなっている。
日本は、従来、7月に開催されるIPhOにしか参加していなかった。APhOの開催時期が毎年5月であり、高校生である代表選手が新学期開始間もない時期で大きな負担をかけることを心配したもの。
しかし、APhOへの参加を希望する声が選手たちから高まったため、今年からIPhOに向けた海外研修という位置づけでAPhOに参加することにした。APhOに参加した8名のうちの5名が7月開催のIPhOの日本代表選手として参加することになっている。