小惑星探査機「はやぶさ2」は、昨年12月に小惑星リュウグウから帰還し、同惑星の物質を持ち帰って地球に戻ること(サンプルリターン)に成功した。物質を格納したサンプルコンテナの内部の粒子は、今年6月以降、「はやぶさ2」プロジェクト初期分析チームが1年間にわたり分析を行い、プロジェクトの科学目標である太陽系の起源と進化、地球の海や生命の原材料物質に関する成果を上げることを目指す。
初期チームは、①化学分析、②石の物質分析、③砂の物質分析、④揮発性成分分析、⑤固体有機物分析、⑥可溶性有機物分析の6チームで構成。14ヵ国109の大学と研究機関から269名が参加予定。全体の統括は、東京大学大学院医学系研究科附属宇宙惑星科学機構の橘 省吾教授(JAXA宇宙科学研究所特任教授)が務める。
6チームのうち、石の物質分析チームは東北大の中村智樹教授がチームリーダーを務める。水を含む鉱物である「含水鉱物」に着目。放射光高エネルギービームを使った非破壊の物質分析を行い、回収試料の3次元の内部構造や元素分布を求める。
砂の物質分析チームのチームリーダーは野口高明京大/九大教授。太陽から噴き出している太陽光というプラズマを浴び続けているといった厳しい環境に晒されているリュウグウを作っている物質の表面がどのように変化しているか分析する。