パーソナルモビリティの開発・販売を手掛けるWHILLは22日、神奈川県の藤沢市にあるスマートシティで、来月初めから「WHILL Model C」のシェアリングを始めると発表した。地域の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の利用者らに無料で使ってもらい、フレイルの予防など心身の健康維持につなげたい考えだ。
藤沢市では、市内で先端技術などを活かしたまちづくり、「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」(FujisawaSST)が、パナソニックなどを中心に官民共同で進められている。WHILLは今回、県内でガソリンスタンドやレンタカーの事業などを運営するサンオータスと提携。同社がFujisawaSSTで運営するトータルモビリティサービス拠点「スクエアモビリティ」にWHILL Model Cを常時展示し、短時間のレンタルで市内を回れるようにする。
利用できるWHILL Model Cは、段差や悪路をクリアするWHILLの利点はそのままに、小型化や軽量化を図ったモデル。自分自身で操作し、外出できることから、新型コロナウイルスの影響で公共交通機関の利用を避ける高齢者が活用。さらに、感染拡大防止のため、ヘルパーや家族の手助けを一時的に控えているお年寄りにも多く利用されているという。
国土交通省の調べによると、日本の65歳以上の高齢者のうち、約1000万人は500m超の歩行が困難だとされている。3密を避けるため公共交通機関の利用を控えた場合、こうした人は最低限の買い物や健康維持のための外出が難しい。そのためWHILLは、取り組みを通じて気軽な外出手段を提供することにより、高齢者が「新しい生活様式」の中で陥りやすい閉じこもりの回避を目指す。合わせて、今回得られた知見を他の自治体でのシェアリングに活かしていく方針だ。