WHILLは8月31日、慶應義塾大学病院で電動車いす「WHILL」の自動運転システムを使って患者を搬送する実証実験を始めると発表した。
自力での移動が困難な患者をサポートする。WHILLが病院で自動運転システムを試すのは今回が初めて。目的地までの安全性の確保と病院スタッフの負担軽減につなげたい考えだ。
実証実験は9月1日から来年3月31日にかけて行われる。地図情報をインプットした「WHILL 自動運転モデル」が、センサー群で探知した周囲の状況を解析しながら運行。最初に行き先を設定することで、利用者は特別な操作をしなくてもそこへ辿り着ける仕組み。利用後は無人運転で所定の場所へ自動返却される。
取り組みのきっかけとなったのは、院内の診療エリアが広くなったこと。患者が歩く距離が伸びたため、歩行に不安のある人らを十分にサポートする必要性が生じていた。車いすを押したり付き添ったりする人的リソースの確保にもやはり限界がある。
WHILLはこれまでに、複数の「自動運転モデル」の電動車いすを管理・運用するシステムを開発。各国の空港などで「交通弱者」を支援する実証実験を重ねてきていた。