エス・エム・エスは今週、介護事業所の経営を支援するクラウドサービス「カイポケ」を通じたタブレットのレンタル台数が、全国で3万台を超えたと発表した。
「テクノロジーの扱いが苦手」「デジタル化が遅れている」。各方面からそう指摘されている介護現場だが、ICTに軸足を置く企業が牽引する形で状況は少しずつ変わってきている。
エス・エム・エスは「カイポケ」を導入している事業所に対し、タブレットを1台まで無料で、2台目以降は3000円/月でレンタルしてきた。このレンタルが今年5月末の時点で3万台を突破したという。
同社は今後もこうしたサービスの展開に力を入れていく方針。介護現場のICT化、業務の効率化、負担の軽減などを引き続き強力に後押しする考えだ。
介護業界は慢性的な人手不足に喘いでおり、使い勝手の良いソリューションへのニーズは高い。生産性の向上や”科学的介護”などを重視した国の施策も追い風になるとみられる。取材に応じた広報担当者は、「介護現場のコミュニケーションの円滑化を推進するサービスにも注力したい」とコメントした。
「カイポケ」はパソコンやタブレット、スマートフォンなどで操作するサブスクリプション型の介護ソフト。報酬請求や記録のみならず、勤怠管理、給与計算、求人、備品調達、ホームページ作成、ファクタリングなど様々な機能が用意されており、これらをクラウドで使えるところが大きな特徴だ。今年4月1日時点の会員数は、全国で約3万1100事業所となっている。
タブレットを活用する利点は、例えば文書作成やデータ入力、情報の確認・共有、スケジュール管理などが場所を選ばずいつでもできること。事務所の中でしか行えないことが減り、移動の際に持ち歩く書類の削減も図れる。エス・エム・エスの広報担当者は取材に対し、「サービス提供後の業務が楽になる点などは、特に高い評価を頂いている」と説明した。