沖縄科学技術大学院大学(所在地:沖縄県恩納村、ピーター・グルース学長、OIST)とAI特化型インキュベーター(起業支援者)である(株)ディープコア(所在地:東京都、仁木勝雅代表取締役社長)は、両者の連携推進に係わる覚書をこの春取り交わした。両者は、グローバルに通用するイノベーションを日本から生み出すことを目指し、AI分野を中心に、共同プロジェクトや情報連携などを行い、産学連携で先端技術の社会実装を推進する。
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AIやロボティクス、IoTをはじめ、さまざまな領域で技術革新が進み、グローバル規模で産業構造が急速に変化する中、研究機関や企業が連携するオープンイノベーションを推進し、国際競争力を高めることは一層重要となっている。
OISTは沖縄の地で、分野間の壁のない学際的なアプローチで世界最高水準の科学技術に関する教育及び研究を行う国際的な大学院大学。神経科学、数学・計算科学、物理学、そして理論といった多面的なアプローチでAI関連研究を進める研究グループを擁し、スーパーコンピューターなど世界レベルのインフラを備え、イノベーションをもたらす研究を推進するとともに、起業家育成や、沖縄における技術開発と商業化のハブとしての機能を高めている。
ディープコアは、AI、特にディープラーニング分野の若手起業家育成を目指すインキュベーター。AI技術者や研究者向けのコミュニティ&コワーキングスペース「KERNEL HONGO」を今夏オープンするとともに、企業や研究機関等と連携したエコシステムを構築し、世界に破壊的イノベーション起こす起業家を育成することを目指している。
両者は、グローバルに通用するイノベーションを日本から起こすという共通のビジョンの下、先端技術に通じるそれぞれの人材が連携する仕組みを構築する。OISTの国際的かつ先端的な研究者と、ディープコアが支援するAI技術者やAI応用分野のビジネス人材、起業家などが連携することで、イノベーションの創出を図る。
具体的には、共同プロジェクトの推進と新規技術領域の情報連携で協力する方針。OISTの研究者と、ディープコアが支援するAI技術者、研究者、AI応用分野のビジネス人材、起業家が連携する共同プロジェクトを推進。双方の知見や事業アイデアを組み合わせ、AIの社会実装を目指す。
また、新規技術領域の情報連携にも取り組む方針で、AI以外の先端技術分野の情報についても連携し、新たな研究・事業領域を議論・検討することとしている。
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OISTは、沖縄で世界最高水準の科学技術に関する教育研究を行うことで、沖縄の自立的発展と世界の科学技術の向上に貢献することを目的に、2011年秋に設置された。
現在までに約60の研究ユニットが発足し、神経科学、分子・細胞・発生生物学、数学・計算科学、環境・生態学、物理学、化学等の分野で、学際的で先端的な研究活動を展開。研究室から生まれる発明を社会的・経済的利益をもたらすイノベーションに発展させるべく、国内外の企業との強固なネットワークを構築、多くの国際ワークショップやセミナーも開催し、学生や若手研究者の育成にも力を入れている。
特に、AI分野では、科学研究費新学術領域研究「人工知能と脳科学」の代表を務める銅谷賢治教授などを擁するなど、わが国、さらには世界をリードする研究を展開している。
ディープコアは〝Core for Disruptive Innovations〟をミッションに、AI、特にディープラーニング分野の若手起業家育成を目指すAI特化型インキュベーター。ソフトバンクグループ(株)が100%出資している。
東京都文京区本郷にコミュニティ&コワーキングスペース『KERNEL HONGO』を今夏オープンし、企業や研究機関等と連携する共同実証実験、スタートアップ支援を行う方針。東京大松尾研究室をはじめ、さまざまな研究機関や企業と連携し、起業家を育成するエコシステムを構築することで、AIの社会実装を加速させることを目指している。日本ディープラーニング協会正会員。