国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)が9月に地元の横浜市との間で「地域活性化に関する包括連携協定書」を締結した。海洋に関する産業・研究・教育などの活動について連携を強化することにより、横浜経済の活性化や将来を担う子どもたちの教育、市民生活の向上などに資することを目的としたもので、JAMSTECが地方自治体と包括連携協定を締結するのは今回が初めて。
JAMSTECは、平成14年に金沢区に横浜研究所を開設して以来、しない学校への出前授業や、研究施設の一般開放など、地域に根差した活動を通じて、横浜市や市民らに大いに貢献している。
また、2年前の平成27年9月には、横浜市が26の企業・団体などで「海洋都市横浜うみ協議会」を設立し、JAMSTECも参加し、海の多彩な魅力を伝える「海洋都市横浜うみ博」や大学生を対象とした就職セミナーなど、さまざまな活動を行ってきた。
こうした取組を通じて、地方自治体と研究機関とが一層連携を強化することで、産業の振興や、国際会議の誘致、子どもたちへの教育、都市環境の課題解決など地域活性化に向けて協力して取り組むことができるとの認識を共有したことで、今回の包括連携協定の締結にいたった。
包括連携協定の対象分野は、1)産業振興、研究開発促進、イノベーション創出、2)国際会議・展示会などの開催・誘致、交流機会の創出、3)海に関する市民の関心の向上や学習機会の創出、4)都市環境の課題解決。
1月に海洋コンベンション開催
具体的には、地球シミュレータ(スーパーコンピューター)の産業利用の促進や市内企業との連携推進を図り、来年1月16日(火)・17日(水)には横浜市中区海岸通の大さん橋ホールで、新たに海洋コンベンションを開催する。今後、海洋分野の国際会議や展示会などの誘致を連携して進めていく方針。
さらに、市内の小中学校に対する出前授業や施設見学の受入れ、子どもたちの最先端研究に触れる機会を創出する。JAMSTECが所有する調査研究船「ちきゅう」の横浜寄港に合わせて、一般市民への公開を行う。さらに、都市を対象とした大気シミュレーションなど、都市環境の改善に向けた研究について連携し、研究成果のまちづくりへの活用を推進していく。