IAEA(国際原子力機関)は7月18日、東京電力福島第一原子力発電所(東電福島第一原発)におけるALPS処理水の取扱いに関して海洋放出開始後2回目となる安全性レビューミッションに関する報告書を公表した。この報告書は、2024年4月23日から26日にかけて、IAEAの職員及び国際専門家が日本を訪れ、その際に実施したレビューの結論を示したもの。
2024年4月の東電福島第一原発におけるALPS処理水の取扱いに関する安全性レビューミッションは、IAEAとの間で2021年7月に署名されたALPS処理水の取扱いの安全面のレビューに関する付託事項(TOOR)に基づき実施されたもので、海洋放出開始後2回目のレビューとなる。IAEAレビューは、原子力分野の専門機関であるIAEAの職員と国際専門家(アルゼンチン、英国、オーストラリア、カナダ、韓国、中国、マーシャル諸島、フランス、米国、ベトナム、ロシア)からなるIAEAタスクフォースにより実施されており、今回は6名のIAEA職員と、9名の国際専門家(アルゼンチン、英国、オーストラリア、韓国、中国、フランス、ベトナム、米国、ロシア)が訪日した。
今回公表された報告書では、主に、国際安全基準に基づき2024年4月に実施されたレビューにおける見解について記されている。
報告書では、①規制管理と認可、②放出管理のシステムとプロセスに関する安全性、③ALPS処理水の特性評価、④放射線環境影響評価、⑤ALPS処理師と環境のモニタリングプログラム、⑥利害関係者の関与、⑦職業的な放射線防護‐といった主な技術的事項毎に、IAEAタスクフォースと経産省及び東京電力との議論並びに東電福島第一原発の視察調査のポイントや、所見の概要が記載されている。
また、報告書では、タスクフォースにより、関連する国際安全基準の要求事項と合致しないいかなる点も確認されなかったことが明記されている。
主な確認結果として、タスクフォースにより、関連する国際安全基準の要求事項と合致しないいかなる点も確認されなかった。したがって、IAEAは、2023年7月4日の包括報告書に記載された安全性レビューの根幹的な結論を再確認することができる。
規制インフラは、ALPS処理水の放出を安全に監視するにあたり適切であり、タスクフォースは、原子力規制委員会の継続的な現場での立会いとその活動を直接見ることができた。
また、タスクフォースは、機器及び設備が実施計画及び関連する国際安全基準に合致した方法で設置され、運用されていることを確認した。
さらに、タスクフォースは、東京電力と日本政府から報告されたデータの正確性と信頼性について、包括的で透明性のある客観性検証を行う上で、IAEAの継続的な裏付け活動とオンサイトでの独立したサンプリングと分析が重要であることを指摘した。
今後の計画として、タスクフォースは、東京電力と原子力規制委員会の活動が関連する国際安全基準に合致しているかどうかを評価するため、引き続きレビューを行う。
4月のミッション期間中、タスクフォースは次のステップについて話し合い、日本への定期的なレビューミッションを継続する意向を強調した。次回のレビューミッションは2024年第4四半期に実施される予定。
IAEA報告書を受け、日本政府は引き続き、IAEAレビューを通じて国際的な安全基準に従った対策を講じ続け、安全確保に万全を期していく方針だ。