2024年9月24日 DX経営による企業価値向上 デジタルガバナンス・コードを改訂 経産省

経済産業省は、今年6月に「企業価値向上に向けたデジタル・ガバナンス検討会」を立ち上げ、デジタルガバナンス・コードの改訂に向けた検討を進めてきた。同検討会での議論を踏まえ、9月19日に「デジタルガバナンス・コード3.0~DX経営による企業価値向上に向けて~」を策定した。

経産省は、2020年11月に、企業のDXに関する自主的取組を促すため、デジタル技術による社会変革を踏まえた経営ビジョンの策定・公表といった経営者に求められる対応を「デジタルガバナンス・コード」として取りまとめた。

また、2022年9月には、デジタル人材の育成・確保をはじめとした時勢の変化に対応するため、「デジタルガバナンス・コード2.0」に改訂した。

今年6月に「企業価値向上に向けたデジタル・ガバナンス検討会」を立ち上げ、より経営者がDXに取り組むことを推奨するため、DXを通して得られる企業価値向上に焦点を当て、経営者への伝わりやすさを重視した見直し(名称・構成の変更等)をはじめ、データ活用・連携やデジタル人材の育成・確保、サイバーセキュリティ等の時勢の変化に対応するための見直しを反映した「デジタルガバナンス・コード3.0~DX経営による企業価値向上に向けて~(案)」を取りまとめた。

今回の改訂では、デジタルガバナンス・コードの目的である「DX経営による企業価値向上」を強調する副題を新たに記載した。

序文では、DXの推進による企業価値向上に焦点を当てた経営者向けメッセージを追加するなど、大幅に見直している。

また、「人的資本経営の実現に向けた検討会報告省~人材版伊藤レポート2.0~」の3つの視点と整合する、「DX経営に求められる3つの視点」を追加し、デジタルガバナンス・コードの全体像を「DX経営に求められる3つの視点・5つの柱」と新たに整理した。

本文では、経営者への伝わりやすさを重視し、柱建ての名称・構成を大幅に見直した。

また、デジタルガバナンス・コード2.0において「取組例」として設けていた内容を「望ましい方向」に統合し、より簡潔で分かりやすい内容に変更した。

さらに、データが企業の成長に欠かせない要素になってきていることを踏まえ、経営におけるデータ活用やデータ連携の重要性を強調している。

DXを推進していく上で最大の課題であるデジタル人材の育成・確保については、デジタルスキル標準を参照した社員のスキル可視化や経営者を含めた役員・管理職の意識改革、キャリア形成支援等の重要性を強調した。

今後ますます増加するとともに高度化・複雑化していくおそれがあるサイバーセキュリティリスクについては、第三者監査やサプライチェーン保護に向けた対策等の重要性を強調した。

その他、取締役会の役割等、各項目において必要な見直しを実施した。

デジタルガバナンス・コードに紐づく「DX認定」の認定基準については、コードに記載の「デジタル技術の進化による社会及び競争環境の変化」を「データ活用やデジタル技術の進化による社会及び競争環境の変化」に、「デジタル技術を活用する戦略」を「DX戦略(=データとデジタル技術を活用する戦略)」に見直したことに伴い、各柱の②認定基準(=「DX認定」の認定基準)にデータ活用の要素も明示的に含まれた。

なお、デジタルガバナンス・コードの柱立ての構成を大きく見直したことに伴い、各柱の「①柱となる考え方」や「②認定基準」に記載されている各項目を移行・分割しているが、前述以外に認定基準の内容で大きく変更となる箇所は発生しない。今後、申請を予定している事業者は、新基準に沿って申請書類を準備することとなる。

また、「DX銘柄」の評価・選定基準については、全体構造を大きく見直し、「デジタルガバナンス・コード2.0」の各柱立てにおいて、(3)望ましい方向性及び(3)取組例、としてそれぞれ記載していた箇所を見直し、必要な改訂を行った上で、(2)望ましい方向性、として統合した。

DX銘柄の選定材料となるDX調査の調査項目について、(2)望ましい方向性の記載を踏まえた内容が反映される見込みである。


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