(国研)森林研究・整備機構森林総合研究所、東京大学、御蔵島のオオミズナギドリを守りたい有志の会の研究グループは、伊豆諸島御蔵島において、準絶滅危惧種オオミズナギドリの繁殖期に頻繁に観察される頭部のない死骸の傷口からネコのDNAを検出し、ネコがオオミズナギドリを捕食していることを明らかにした。
世界中の島々で海鳥の繁殖期に、頭部のない海鳥の死骸が頻繁に観察されることが報告されている。しかし、これまで捕食者を特定する決定的な証拠はなかった。オオミズナギドリの大規模繁殖地がある御蔵島では、屋外に定着したネコによって近年個体数が減少していると言われている。
今回の研究では、御蔵島で、日の出前後の時間帯から調査を開始し、8個体のオオミズナギドリの死骸を発見した。次に、その傷口に残るDNAの分析を行い、捕食者の特定を試みた。その結果、8個体中6個体のオオミズナギドリの死骸の傷口からネコのDNAが検出され、ネコによる捕食が確認された。これらの死骸は調査前日には存在しなかったことが確認されており、直前の夜間にネコに捕食されたものと推定される。
今回の研究結果は、御蔵島に生息するオオミズナギドリを守るために、ネコ対策の推進が不可欠であることを示すもの。また、この研究は、海鳥の捕食者を世界で初めて遺伝学的に検出した事例であり、御蔵島だけでなく、ネコが定着する島々で世界中で確認される大型海鳥類の頭部のない死骸もネコによる捕食の可能性があることを示すものである。
研究グループでは、今回の研究の科学的エビデンスにより、ネコが屋外にいることで生じる海鳥への捕食リスクをより多くの人に知ってもらうことを期待するとしている。