ケアプランの作成をサポートするAI「ケアプランアシスタント(CPA)」を開発しているウェルモは8月22日、コニカミノルタとアライアンスを締結したと発表した。
AI×IoT。そう構想を表現している。高いセンシング技術を持ち、見守りなど施設向けのソリューションを提供しているコニカミノルタの力を借りる。利用者は居室でどんな生活を送っているのか? そうしたビッグデータをCPAに与え精度の向上につなげていく。居宅だけでなく施設も導入してくれるAIに育てたい、という思惑もある。
この日の記者発表会では、コニカミノルタに加え、あいおいニッセイ同和損害保険やLINE Venturesなどから新たに11.7億円の資金を調達したことも報告。これを組織体制やプロダクトの強化に充てるとした。
ウェルモの鹿野佑介CEOは、「テクノロジで日本の介護をより良くしたい。アクセルを強く踏み込んでいく。この領域でフロンティアを切り開きたい」と意欲をみせた。
■ 欠けている視点を補うAI
ケアマネジャーの「知らない」をなくす − 。これがCPAのコンセプトだ。どうしても生じる「カバーしきれない知識」を補完し、学習・情報収集の負担を軽減する点が最大の特徴といえる。
ウェルモがAIに学ばせているのは、質の高いケアマネジメントを実践するプロセスで欠かせない既存の膨大な知見だ。看護やリハビリなど医療の領域も幅広く含まれる。
CPAはこれを基に、ケアプランの第2表の作成を支援する。利用者の状態が入力されると、「解決すべき課題」の選択肢を提示。どれかが選ばれるとすぐさま書類に反映する。ケアマネはアセスメント結果などを踏まえ、必要に応じてブラウザで加筆、修正するだけでよい。
以下、長期目標、短期目標、サービス内容と同様に埋めていく。各項目では選択肢の根拠、参考情報などがあわせて示される。自分が見落としていた視点を発見し、それを吸収しながら仕事を進められる設計だ。
ケアプランの作成で求められる専門性は多岐にわたり、日々の業務で忙しい中その全てをカバーするのは極めて難しい − 。そうした問題意識が開発のベースにある。国の調査結果(※)によると、「自分の能力や資質に不安がある」と答えたケアマネは45.9%とかなり多い。
※ 厚労省「平成27年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査」
■ 製品版、来夏リリース予定
ウェルモは今後、コニカミノルタのセンシングで得られる行動データもCPAの糧としていく考え。例えば、CPAでケアプランを作った利用者の居室での活動を把握し、それをフィードバックすることなどを想定している。コニカミノルタのセンサーは起床や離床だけでなく、呼吸による体動など僅かな動きも検知可能。
ウェルモはCPAのβ版(実証実験版)を今年秋に公開する。製品版のリリースは来年度夏の予定。