国立がん研究センター中央病院とNHK財団は7日、8Kスーパーハイビジョン技術による超高精細映像を用いて、腹腔鏡手術を遠隔地からアシストするシステムの臨床試験を世界に先駆けて始めたと発表した。試験結果を踏まえて、医療機器としての承認に向けた計画を策定。外科医や高度医療技術の地域偏在や不足の解消を目指すとしている。
このシステムは、従来のハイビジョンの16倍にあたる3300万画素の映像が撮影できる8Kカメラで、複数の手術映像をリアルタイムに送受信。映像を手術室と遠隔地(支援側)双方の8Kモニタに並べて表示し、リアルタイムに視覚的な注釈と音声で技術指導を行う。
これまで、2016年のシステム開発開始から、2021年には動物を用いた実証実験で、外科医の内視鏡技術の向上と、手術時間の短縮を確認。今回は大腸がんの患者を対象とした臨床試験を行い、安全性と有用性のほか、通常は外科医が3名で行う腹腔鏡手術を1人減らしても質の高い腹腔鏡下直腸切除術が実施できるかどうかを評価する。